日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ 日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ

ビアスタイルを知ろう!<3>
【ヴァイツェン】

ビールには「白ビール」と呼ばれる、淡色で白く濁ったビールがあります。「小麦ビール」とも呼ばれ、大麦麦芽だけでなく小麦麦芽も使用して作る上面発酵ビールです。

そのなかに、南ドイツ地方で古くから作られている白ビールがあります。それが「ヴァイツェン」です。小麦麦芽を原料の50%以上を使用することが決められていて、白く濁っていることから「ヴァイス(=白い)」とも呼ばれています。非常に泡立ちがよく、泡持ちがいいのも特徴です。

苦みが少なく、フルーティーでスパイシーな味わいも特徴のひとつです。バナナやクローブ、バニラのような香りとともに、ほのかな酸味、強い炭酸であることから清涼感も感じられます。

ヴァイツェンには、酵母を取り除かずビン内で後発酵させた濁りのある「ヘーフェヴァイツェン」、酵母を取り除いた透明な「クリスタルヴァイツェン」、色が濃い「デュンケルヴァイツェン」、アルコール度数が高い「ヴァイツェンボック」などがあります。

酸味のあるザワークラウトや酢の物、さっぱりとした焼き魚などの料理とよく合うビールです。

 

ビールは「発酵」によって
味わいが変わる?<2>
【下面発酵】

ビールは、酵母が麦汁内の糖類を分解して、炭酸ガスとアルコールを生成する「発酵」によって作られます。発酵には「上面発酵」「下面発酵」「自然発酵」があり、その発酵の種類によってビールの味わいも変わってきます。

前回は「上面発酵」を紹介しましたが、今回は「下面発酵」について解説していきましょう。

「下面発酵」とは、発酵後に麦汁内の酵母がタンクの底に沈殿していくことから名づけられた醸造方法。発酵温度が5~10℃と低温で、発酵期間は7~10日間、熟成に1カ月程度時間をかけて作られるのが特徴です。

下面発酵で作られるビールは「下面発酵ビール」や「ラガー」と呼ばれています。19世紀後半に下面発酵ビールが普及すると、たちまちビールの主流となり、今や世界の約9割がこの下面発酵ビールとなりました。「ピルスナー」をはじめ「アメリカン」「ババリア」「ミュンヘン」「メルツェン」「ボック」「スモーク」「スパイス」「フルーツ」といったスタイルのビールが下面発酵ビールです。

キレのある苦みとさわやかなノド越しで、ゴクゴクと飲めるのが特徴の下面発酵ビール。シンプルな味わいなので、さまざまな料理と一緒に楽しむことができます。

 

<代表的な下面発酵ビール>

ビールは「発酵」によって
味わいが変わる?<1>
【上面発酵】

麦やホップなどから作られる麦汁のなかの糖類を酵母が分解して、炭酸ガスとアルコールを生成する「発酵」によって作られるお酒がビールです。その発酵には「上面発酵」「下面発酵」「自然発酵」の3種類があり、発酵の仕方によってできあがるビールの種類が変わってきます。

そこで今回はその中のひとつ「上面発酵」について、解説していきましょう。

「上面発酵」とは、発酵が進むと麦汁の表面に酵母が浮かび上がる酵母を使った醸造方法です。発酵温度が15~20℃ほどと比較的高く、3~4日間という短い期間で発酵が終了します。

この上面発酵で作られるのが「上面発酵ビール」「エール」と呼ばれるビールです。非常に歴史のあるビールで、イギリスやベルギーでは、今も多くの人に愛されています。「エール」「IPA」「ヴァイツェン」「ホワイト」「ホワイトカクテル」「トラピスト」「アベイ」「スタウト」「ポーター」が、上面発酵ビールに属するスタイルです。

味わいは、フルーティーなものが多いですが、味や香りに多様性があるのもこのビールの特徴です。長い歴史のなかで、作られてきた地域の風土や生活が反映され、個性的でバラエティーに富んだビールが育まれてきました。

冷やして飲んでもおいしいですが、香りを楽しむために10℃以上の温度で味わうのがいいと言われています。よくビールは“ノド越し”や“キレ”だと言われますが、上面発酵ビールで、芳醇な味と香りをじっくりと味わってみてください。

 

<代表的な上面発酵ビール>

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【エール】

ピルスナーなど日本でなじみ深く、最も飲まれている下面発酵で作るビールを総称して「ラガービール」と呼びます。それに対し、香りとコクが豊かな、上面発酵で作るビールを総称して「エールビール」と呼ぶケースもあります。

しかし、ここではビールのスタイルとしての「エール」を紹介しましょう。

「エール」とはイギリスビールの総称で、もともとはブラウンカラーで高アルコールのナチュラルビールを指しました。しかし現在では「ペールエール」「ビターエール」とさまざまな種類のエールがあります。

「上面発酵」という伝統的な発酵方法で作られており、下面発酵と比べると高温の15~25℃ほどで発酵します。発酵が進むと表面に酵母が浮かび上がることから「上面発酵」と呼ばれています。

エールの中でも代表的なものが「ペールエール」。ペールとは「淡い」という意味で、それまで飲まれていた濃色エールに比べて色が薄かったことから“ペール(淡い)エール”と呼ばれました。それでも現在主流のピルスナーと比べると、色は少々濃いめです。

フルーティーな香りと麦芽やホップの強い苦みは、ビーフシチューやフライドチキンにピッタリの味わいです。

 

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【ピルスナー】

ビールにはたくさんの種類があります。この“種類”のことをビールの世界では「スタイル」と呼んでいて、その数ナント100種類以上!

そんな世界中にあるスタイルのなかで、最も普及しているのが「ピルスナー」です。この黄金色をした淡色ビールは、1842年にチェコのピルゼンで生まれました。ピルスナー誕生以前は、ほとんどが濃色のビールだったため、この爽やかな味わいの新しいビールはたちまち評判となり、のちに世界を席巻することになります。

現在日本で作られているビールも、ほとんどがこの「ピルスナー」にあたります。

ピルスナーは「下面発酵」と呼ばれる発酵方法で作られるビールの代表格。5〜10℃前後の低温で時間をかけて発酵し、発酵後に酵母が底に沈む「下面発酵酵母」で作られます。キレのある苦みと爽やかなノド越しが特徴です。

最もおいしく飲める温度は5~7℃。そのスッキリとした味わいは、揚げ物や焼き鳥などの料理と相性が抜群。