日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ 日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ

ビアスタイルを知ろう!<4>
【ホワイト】

前回、ドイツの伝統的な白ビール「ヴァイツェン」を紹介しましたが、このほかにも多くのビールファンを魅了している白ビールがあります。それは「ホワイト」と呼ばれる、ベルギーの上面発酵ビールです。ほかの白ビールと区別するために「ベルジャンスタイルホワイトエール」「ベルジャンホワイト」などと呼ばれることもあります。

このビールは、15世紀からベルギーのヒューガルデン村で醸造されてきましたが、1957年にピルスナー人気などの影響により製造が終了してしまいます。しかし1966年に製造が再開され、復活を遂げています。

そんなホワイトの特徴は、大麦麦芽と小麦麦芽、そして麦芽化されていない小麦を使って作られていること。この麦芽化されていない小麦のタンパク質と酵母の影響で白く濁っていることから「ホワイト」と呼ばれているのです。

また、コリアンダーやオレンジピールなどで香りづけがされているので、とてもフルーティーでスパイシーな、清涼感のある味わいが楽しめます。ほどよい酸味がヨーグルトのような風味も感じさせます。ホップの苦みが苦手だという人に、人気のあるスタイルです。

そんな爽やかな風味のホワイトは、白身魚のカルパッチョ、サーモンマリネ、魚介のアヒージョなど、酸味のある料理や魚介類と相性が抜群です。

 

ビアスタイルを知ろう!<3>
【ヴァイツェン】

ビールには「白ビール」と呼ばれる、淡色で白く濁ったビールがあります。「小麦ビール」とも呼ばれ、大麦麦芽だけでなく小麦麦芽も使用して作る上面発酵ビールです。

そのなかに、南ドイツ地方で古くから作られている白ビールがあります。それが「ヴァイツェン」です。小麦麦芽を原料の50%以上を使用することが決められていて、白く濁っていることから「ヴァイス(=白い)」とも呼ばれています。非常に泡立ちがよく、泡持ちがいいのも特徴です。

苦みが少なく、フルーティーでスパイシーな味わいも特徴のひとつです。バナナやクローブ、バニラのような香りとともに、ほのかな酸味、強い炭酸であることから清涼感も感じられます。

ヴァイツェンには、酵母を取り除かずビン内で後発酵させた濁りのある「ヘーフェヴァイツェン」、酵母を取り除いた透明な「クリスタルヴァイツェン」、色が濃い「デュンケルヴァイツェン」、アルコール度数が高い「ヴァイツェンボック」などがあります。

酸味のあるザワークラウトや酢の物、さっぱりとした焼き魚などの料理とよく合うビールです。

 

ビールは「発酵」によって
味わいが変わる?<1>
【上面発酵】

麦やホップなどから作られる麦汁のなかの糖類を酵母が分解して、炭酸ガスとアルコールを生成する「発酵」によって作られるお酒がビールです。その発酵には「上面発酵」「下面発酵」「自然発酵」の3種類があり、発酵の仕方によってできあがるビールの種類が変わってきます。

そこで今回はその中のひとつ「上面発酵」について、解説していきましょう。

「上面発酵」とは、発酵が進むと麦汁の表面に酵母が浮かび上がる酵母を使った醸造方法です。発酵温度が15~20℃ほどと比較的高く、3~4日間という短い期間で発酵が終了します。

この上面発酵で作られるのが「上面発酵ビール」「エール」と呼ばれるビールです。非常に歴史のあるビールで、イギリスやベルギーでは、今も多くの人に愛されています。「エール」「IPA」「ヴァイツェン」「ホワイト」「ホワイトカクテル」「トラピスト」「アベイ」「スタウト」「ポーター」が、上面発酵ビールに属するスタイルです。

味わいは、フルーティーなものが多いですが、味や香りに多様性があるのもこのビールの特徴です。長い歴史のなかで、作られてきた地域の風土や生活が反映され、個性的でバラエティーに富んだビールが育まれてきました。

冷やして飲んでもおいしいですが、香りを楽しむために10℃以上の温度で味わうのがいいと言われています。よくビールは“ノド越し”や“キレ”だと言われますが、上面発酵ビールで、芳醇な味と香りをじっくりと味わってみてください。

 

<代表的な上面発酵ビール>