ビール腹の原因はビールではない
【エンプティ・カロリーの話】
お酒好きな人のお腹がぽっこりと出ていると「ビール腹」なんてよく言いますが、実はビールそのもので太るということはありません。
アルコール由来のカロリーは、脂肪として蓄積されにくい「エンプティ・カロリー」。体に蓄積されず、優先的に分解されてすぐに熱に変わります。お酒はアルコール度数が高くなればなるほどカロリーも高くなりますが、摂取してもすぐに消費されるので、直接“太る”ことにはつながらないのです。
ではなぜ「ビールは太る」と言われるのでしょう? それはビールに、脂肪のもとになる糖質やたんぱく質といった栄養素が含まれているから。体にいいお酒と言われる半面、脂肪のもとになるカロリーも含まれているのです。
とはいえ、ビールに含まれている糖質は350mlあたり約10g。ご飯1杯(150g)約55g、食パン1枚(60g)約28gに比べるとかなり低いことがわかります。決して「ビールは太る」と言われるような数字ではありませんね。
だからといって油断してはいけません。エンプティ・カロリーは、体に蓄積しないカロリーですが、このカロリーが消費されている間、食事によって摂取したカロリーは消費待ちの状態。ですからお酒を飲めば飲むほど、ほかのカロリーは消費されず脂肪として蓄積されてしまうのです。
もうおわかりの方もいらっしゃると思いますが「ビール腹」の原因は、ビールではなく食事やおつまみだったのです。お酒を飲みながら食事やおつまみを食べるということは、通常の食事よりも脂肪がつきやすくなってしまうということなのです。
「最近ぽっこりお腹が気になる……」という人は、できるだけカロリーの低いおつまみにしてみてはいかがでしょう。糖質、脂質、濃い味、炭水化物は避け、豆類やナッツ、チーズといった糖質の低いものがおすすめです。キムチ、豆腐、枝豆、キュウリなども低カロリーです。
またお酒を飲むと、体はアルコールを分解するために血液中の糖分を消費します。すると血糖値が下がり、脳が一時的に空腹だと勘違いしてしまいます。するとあの「〆のラーメン」が脳裏にチラついてしまうのです。しかし、そこはグッとこらえましょう。しばらくすると空腹感はなくなります。ガマンできない人は、飴を1個なめるとずいぶん違いますよ。