日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ 日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ

樽、缶、瓶では味が違う?
【ビールと容器の話】

よく「缶ビールより瓶ビールのほうがうまい!」とか「ビールはお店で飲む樽生が一番!」という声を聞きますが、実は樽、缶、瓶には、どれも同じビールが入っています。ですからビールの味は、どれも同じはずなのです。

しかし同じビールでもなぜ、味が違うと感じるのでしょう? ひとつは、飲み方にあります。瓶ビールはグラスに注いで飲む人がほとんどだと思いますが、缶ビールは直接口を付けて飲むケースも多いのではないでしょうか?

缶から直接ビールを飲むと泡が立ちませんので、グラスに注いだときのような飲み口にはなりません。また、炭酸ガスがほとんど抜けないまま口に入るので、舌に強い刺激を感じます。さらに缶に口を付けることで感じる金属味が、ビールの味に影響する場合もあります。

注ぎ方によっても、ビールの味に違いを感じることがあります。瓶ビールをグラスに注ぐ場合、泡がよく付いた状態で注げることもあれ、泡を立てずに注いでしまうこともあります。注ぎ方にムラがあれば、味の感じ方も変わってしまいます。

それに対してお店で飲む樽生ビールは、ビールサーバーで最適な温度、適切な泡付けがされた理想的なビールが注がれます。「ビールはお店で飲む樽生が一番!」と感じるのは、こんなことが理由かもしれません。

このように同じビールでも、飲み方や注ぎ方ひとつで、違った味に感じてしまうことがあります。「同じ銘柄なのに、味が違うような気が……」というときは、このようなことが影響しているかもしれませんね。

このひと手間でプロの味
【三度注ぎ】

缶ビールや瓶ビールを飲むとき、無造作にグラスに注いではいませんか? 実は注ぎ方ひとつで、ビールはもっとおいしくなるのです。その注ぎ方が「三度注ぎ」と呼ばれる方法です。ビールを泡立てながら3回に分けて注ぐことから、この名が付いています。

泡をしっかり付けることで、グラスのフタになります。このフタがあることで、ビールの香りや炭酸が逃げにくくなり、最後までおいしく飲むことができるのです。

このひと手間をかけることで、普段何気なく飲んでいるビールもビアホールの味に近づきます。ぜひ一度、チャレンジしてみてください!

<「三度注ぎ」の手順>

  1. グラスをテーブルに置き、グラス底面に当たるように勢いよくビールをグラスの半分まで注ぎます。
  2. 上部の粗い泡が消えたら、今度はグラスの9分目までゆっくりとビールを注ぎます。
  3. 粗い泡が消えたら、3度目もゆっくりと注ぎます。グラスの縁から泡が盛り上がるように注ぎ入れたら完成。ビールと泡の比率は7:3が理想的です。

泡はビールの味を左右する!?
【ビールの泡の秘密】

ビールをビールらしく見せるのは、グラスにふっくらとした泡があること。ビールに泡が付いていないと、なんだかおいしそうに見えませんよね? 実はこの泡、おいしそうに見せる演出だけではなく、本当においしくするためのものなのです。

この泡は、いわば“フタ”のような役割を果たし、炭酸ガスや香りが逃げてしまうことを防いだり、ビールが空気に触れて酸化するのを防いでくれたりするのです。

また泡には、苦みの成分を取り込む性質があるため、泡を作らないと苦みを強く感じてしまいます。さらに炭酸ガスも抜けないので、本来の口当たりよりも刺激が強くなってしまいます。

今まで缶ビールは、缶から直接飲んでいたという人とは、ぜひグラスに注いでから飲んでみてください。きっと同じビールでも、味が違って感じられるはずですよ。