日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ 日本ビールスタッフの「気まぐれコラム」ビールがあればいつでも幸せ

ビールは「発酵」によって
味わいが変わる?<1>
【上面発酵】

麦やホップなどから作られる麦汁のなかの糖類を酵母が分解して、炭酸ガスとアルコールを生成する「発酵」によって作られるお酒がビールです。その発酵には「上面発酵」「下面発酵」「自然発酵」の3種類があり、発酵の仕方によってできあがるビールの種類が変わってきます。

そこで今回はその中のひとつ「上面発酵」について、解説していきましょう。

「上面発酵」とは、発酵が進むと麦汁の表面に酵母が浮かび上がる酵母を使った醸造方法です。発酵温度が15~20℃ほどと比較的高く、3~4日間という短い期間で発酵が終了します。

この上面発酵で作られるのが「上面発酵ビール」「エール」と呼ばれるビールです。非常に歴史のあるビールで、イギリスやベルギーでは、今も多くの人に愛されています。「エール」「IPA」「ヴァイツェン」「ホワイト」「ホワイトカクテル」「トラピスト」「アベイ」「スタウト」「ポーター」が、上面発酵ビールに属するスタイルです。

味わいは、フルーティーなものが多いですが、味や香りに多様性があるのもこのビールの特徴です。長い歴史のなかで、作られてきた地域の風土や生活が反映され、個性的でバラエティーに富んだビールが育まれてきました。

冷やして飲んでもおいしいですが、香りを楽しむために10℃以上の温度で味わうのがいいと言われています。よくビールは“ノド越し”や“キレ”だと言われますが、上面発酵ビールで、芳醇な味と香りをじっくりと味わってみてください。

 

<代表的な上面発酵ビール>

ビアスタイルを知ろう!<2>
【エール】

ピルスナーなど日本でなじみ深く、最も飲まれている下面発酵で作るビールを総称して「ラガービール」と呼びます。それに対し、香りとコクが豊かな、上面発酵で作るビールを総称して「エールビール」と呼ぶケースもあります。

しかし、ここではビールのスタイルとしての「エール」を紹介しましょう。

「エール」とはイギリスビールの総称で、もともとはブラウンカラーで高アルコールのナチュラルビールを指しました。しかし現在では「ペールエール」「ビターエール」とさまざまな種類のエールがあります。

「上面発酵」という伝統的な発酵方法で作られており、下面発酵と比べると高温の15~25℃ほどで発酵します。発酵が進むと表面に酵母が浮かび上がることから「上面発酵」と呼ばれています。

エールの中でも代表的なものが「ペールエール」。ペールとは「淡い」という意味で、それまで飲まれていた濃色エールに比べて色が薄かったことから“ペール(淡い)エール”と呼ばれました。それでも現在主流のピルスナーと比べると、色は少々濃いめです。

フルーティーな香りと麦芽やホップの強い苦みは、ビーフシチューやフライドチキンにピッタリの味わいです。

 

ビアスタイルを知ろう!<1>
【ピルスナー】

ビールにはたくさんの種類があります。この“種類”のことをビールの世界では「スタイル」と呼んでいて、その数ナント100種類以上!

そんな世界中にあるスタイルのなかで、最も普及しているのが「ピルスナー」です。この黄金色をした淡色ビールは、1842年にチェコのピルゼンで生まれました。ピルスナー誕生以前は、ほとんどが濃色のビールだったため、この爽やかな味わいの新しいビールはたちまち評判となり、のちに世界を席巻することになります。

現在日本で作られているビールも、ほとんどがこの「ピルスナー」にあたります。

ピルスナーは「下面発酵」と呼ばれる発酵方法で作られるビールの代表格。5〜10℃前後の低温で時間をかけて発酵し、発酵後に酵母が底に沈む「下面発酵酵母」で作られます。キレのある苦みと爽やかなノド越しが特徴です。

最もおいしく飲める温度は5~7℃。そのスッキリとした味わいは、揚げ物や焼き鳥などの料理と相性が抜群。

 

【ホットビール】

キンキンに冷えたビールは夏の飲み物。だから寒い季節になると、少しビールから離れてしまう、そんな人もいると思います。でもビールの味わい方は、冷やして飲むばかりではありません。温めて飲む「ホットビール」という飲み方もあるのです。

本場のドイツやベルギーなどでは、コクがあってフルーティな上面発酵ビールに、スパイスやドライフルーツ、砂糖などを入れて、50~70℃くらいで飲むのが一般的です。

今回使用したビールは「ダブル エスプレッソ ビール」です。豊かなコクと香りが楽しめる味わいにスパイスと砂糖を加えることで、より濃厚で芳醇な味が楽しめます。好みもあると思いますが、70℃ぐらいのアツアツを味わいながら飲むのがおすすめです。

<作り方>

  1. ミルクパンなどの小さな鍋に、シナモンスティック1本、クローブ3~4粒、生ショウガのスライス2~3枚を入れ、ビールを泡立たせないようにゆっくりと注ぎます。
  2. 1を弱火にかけて沸騰直前まで加熱します。加熱の目安は、常温のビール300mlほどなら約5分。
  3. 火を止めたら耐熱グラスに2のビールをゆっくり注ぎ、角砂糖1個を入れて軽くステアしていただきます。

<おすすめのビール>

豊かな香りとコクが楽しめる、本物のエスプレッソが入ったポータービールです。

【大人のシャンディ・ガフ】

ビールをジンジャーエールで割った、ビアカクテルの定番「シャンディ・ガフ」。苦みが抑えられるのでビールが苦手な方や女性でも気軽に楽しめる人気のカクテルです。

<作り方>

  1. 最初にビールをグラスの半分まで注ぎます。
  2. その上から静かにジンジャーエールを注いでいきます。
  3. 炭酸が抜けないように、軽くステアしたらできあがりです。

しかし、市販のジンジャーエールで作ったシャンディ・ガフは、甘くて好みではないという声も聞きます。ウィルキンソンなどの辛みが強いジンジャーエールならシャープな味わいになりますが、身近ではなかなか手に入らないことも。

そこでおすすめしたいのが、エールビールと手作りジンジャーシロップを使った「大人のシャンディ・ガフ」。生ショウガの香りとピリッとした辛みが効いた本格的な味わいになります。イギリスのエールビールを使用すれば、本場イギリスのパブの味わいが楽しめるかもしれませんよ!

<作り方>

【ジンジャーシロップ】

材料

  • ショウガ…200g
  • 三温糖…100g
  • ハチミツ…100cc
  • 水…250cc
  1. ショウガの皮はむかず、半分はスライス、もう半分はすりおろします。
  2. 鍋に水、三温糖、ハチミツを入れて火にかけます。
  3. 三温糖が溶けたら1のショウガを入れ、弱火で10分煮ます。
  4. 粗熱を取ったら煮沸消毒した瓶に濾した3を入れれば完成。

【大人のシャンディ・ガフ】

  1. 最初にジンジャーシロップをグラスに入れます。シロップはエールビール350mlに対して、大さじ2~3杯がおすすめ。
  2. その上から静かにエールビールを注いでいきます。
  3. 炭酸が抜けないように、軽くステアしたらできあがりです。

<おすすめのビール>